豊川祥子がメンバーを招き入れたバンド・Ave Mujicaは、ライブやメディア露出など、商業的な成功を収めていた。運命をともにすると誓った仲間も、生まれ育った家も失った少女。彼女は何のために他人の一生を背負い、バンドを続けるのか。過去も素顔も仮面で覆い隠し、今宵も完璧な箱庭に降り立つ。
豊川祥子がメンバーを招き入れたバンド・Ave Mujicaは、ライブやメディア露出など、商業的な成功を収めていた。運命をともにすると誓った仲間も、生まれ育った家も失った少女。彼女は何のために他人の一生を背負い、バンドを続けるのか。過去も素顔も仮面で覆い隠し、今宵も完璧な箱庭に降り立つ。
思いがけず暴かれたCRYCHIC解散の真相。睦からもAve Mujicaからも、そしてCRYCHICからも目を背けた祥子の嘯きは、元CRYCHICメンバーたちに、見過ごし得ない波紋をもたらす。
精神的疲労が祟り、ライブ中に演奏を間違えてしまった睦。その座り込む姿は、まるで糸の切れた人形そのもの。息を呑む観客。祥子の機転で危機を脱するも、その影響はAve Mujicaの今後に大きく影を落とす。
にゃむの策略によって、舞台上で仮面を外されたAve Mujicaメンバー。素顔を晒した彼女たちは、世間の耳目を集める。寝首を掻かれた祥子、嘲笑うにゃむ、憔悴する睦。仮面を失った人形たちが迎える初のマスカレードは……
発起人・祥子の采配により、Ave Mujicaの人気や評判は上々。次なる大舞台の成功に向け、祥子は完璧なステージを作り上げることに全身全霊を捧げる。しかし、バンドの方向性に不満を持つメンバーと不和が発生し――。それぞれが異なった思惑を抱えたまま、舞台は幕を開ける。